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大好きな革。

 

そんな大好きな革で、ベルトメーカーでも、そして僕にでも作る事が出来る、革小物はないだろうか?そんな事をボンヤリと頭に抱えていた。

 

ベルトを作る事が出来る職人さんは、会社に沢山いる。けれど、革小物となれば話は別だ。似ているようで、全く違う世界。どちらが凄いという事はではなく、モノが違えば、手が違う。でも、世の中の速度はドンドン加速して行き、どこかで何か新しい事を提案して行かなければいつの間にか取り残されて、忘れ去られて行く。

 

どこの世界も同じだが、僕らのいる革業界、特に「修行」というイメージが強いかも知れない。簡単には極める事が出来ない、言わば職人の世界。若いうちに技を取得する事が出来たとしても、磨かなければ錆びてしまうし、「技」というモノは熟練させて初めて力を発揮する代物で、繰り返し、繰り返し取り組む事で進化していく。

 

僕らの業界には、多くの熟練した職人、技術者がいる。頑固者だ。言葉悪く言えば年寄りが多い・・・とも言える。そんな頑固者の職人でも、素直に受け入れる事が出来るもの、それは「相手を動かすほどの熱意、技術的な知識・・・あとは人情」だろう。

 

だからといって、職人さんのご機嫌だけとって、納得のいかない物は作りたくない。

 

まずは・・・大好きな革、「どこが好きなのか?」考えていた所、僕が革が好きな理由、それはベルトが大好きで、そんな大好きなベルトでも、革一枚で作られているベルトが大好きだという事に気がついた。

 

・・・僕は革の一枚ものが大好きで、つまりは、「革そのもの」が好きだと言う事に気がついた。実は、意外?にも、今まで考えた事も無かったから、「発見」と言っても良いくらいだ(笑)

 

材料は革一枚で作る、見た目にインパクトがあり、かつ、ベルト職人でも入りやすく、作りやすいデザイン。革も一枚であれば良い十言うわけではない。革の裏面はボソボソしているのが特徴的で、それが”革らしい”特徴でもある。けれど、どうにも好きになれない。

 

このボソボソ、勿論処理ができない訳ではなく、加工が可能で、バインダーと呼ばれるノリのようなものと、熱処理できれいにツルッと処理が出来る。じゃあ、その処理をする時に色もつけてもらえたら、表もきれいな色合いで、裏もきれいな色、を楽しむ事が出来るでしょう。そんな簡単に考えた内容を、さらっと革屋の営業と、タンナーさんに伝えた。そうは問屋がおろさないなんて、良く言ったもので、一筋縄では行かなかったのが、この材料のポイント。タンナーにまで出向き、直接現場を見せて貰いながら、やりとりし、試作を繰り返す。夏の暑い時期に、革のタンナーでの作業は本当に大変。革が高い理由は、その価値観だけでなく、こうした人の手からでしか生み出す事が出来ない、天然素材だからこそ。

 

こうして、拘りの天然材料が出来上がる。

まだ、日本にふたつとない素材。こんなイカした革を使って作る革小物。

だからこそ、余計に色々考える、色々考えるほど、すぐに行き着く所がある。

それは、「僕はシンプルなものが好きで、ごちゃごちゃしたモノが嫌い」だから、

あまりゴチャゴチャと考えるのも嫌い。

 

シンプルにしよう!

 

こういった気の流れになると、話が早い。どんどんアイデアが出て来る。

テーマは「とにかく、シンプルに、作りは簡素化、究極にミニマルな状態の革小物。」Macに向かって、図面だけ考えているだけではまとまらない。紙を切って作ったり、折り紙を折ったりしながら、試作のイメージをまとめ、デザインを作り上げる。デザイン、図面、パターン、これら全てが一致しない事には、このアイテムはまとまらない。だから、全部同時進行!僕の得意分野。自分でいうのもナンだが、仕事は速い方。一気に15型近くデザイン、図面、パターンを上げた。

 

作り上がる状態をしっかりと理解しているからこそ、職人さんへ伝えるのも楽で、当然相手の理解度も高い。難なくファーストサンプルも上がり、そして更に、完成度も高い。考える側と、作る側の連携が取れると良い反応が商品に出る。この瞬間がたまらない瞬間だ。

 

一部、使い勝手、使用感を考慮して、少しの修正を入れてセカンドサンプルを作成。こうして出来たのが「革一枚で作る、シンプルかつ、究極に簡素化されたデザイン、そして見た目にもインパクトがある革小物」。そんな長ったらしい、名前もいつまでも使えない、だからネーミングも凝りたい。で、またも凝りすぎると良くない。色々つけてみるも、すっーと入ってこない。

 

こんな時は原点回帰。
革を作るときから読んでいた呼び名が有った。
「ぺらぺら」そう、薄くて軽い革、だからぺらぺら。

 

そのまま付けても、能がないかなと、アレンジして「Pela Pela」。革の国、そして僕も大好きな国、イタリアっぽい雰囲気の為に「R」でなく、「L」に拘っている。
些細な所にも拘れ、これは僕の培った経験。全てに物語と、背景がある。

 

目で見えた物だけが真実ではない。
だから、常に気になったものは自分の目で見て判断しないと納得出来ないし、そうやって生きて行きたい。別に興味の無い事はどうでもイイ。でも、自分が興味を少しでも持つなら、それは既に興味のあるもの。強い好奇心、興味、追求心。これらを徹底的に調べ、確認する。学ぶならとことん学びたい。

 

意思、想い、思想。

 

OROの商品には、その全てが揃っている、そう言える自信がある。
こんな物語がある、たまにはそんな、
自分よがりな哲学をもった商品に触れてみるのは如何でしょう?

 

2013年5月吉日 Peace★

KEITA

 

著:原田 惠太